2023年3月27日 (月)

ヘロンの噴水


 今さらですが,ヘロンの噴水を3種類作ってみました。
一番左のは百均のセリアで買ったクリアケース(コレ3個とコレ1個)で作った最もスタンダードな形で噴水が最後まで長く続きます。
 右2つはYouTubeで見かけたタイプ(コレとかコレ)で,「え,こんなのでいいの?」と思って作ってみたら,やっぱり噴水が途中で止まっちゃってダメです。
これを作ったYouTuberは噴水が途中で止まっちゃうのを隠してるからちょっとズルイですなあw
何を言ってるのか分からないかもしれないからとりあえず上のサムネイルをクリックして動画をご覧ください。

まず,一番左のやつですが,噴水が出ているときの写真がこれ ↓ です。
水槽AとCがパイプでつながっています。BとCも同様です。BとCの間にあるケースはパイプを通してあるだけです(水槽A,Bを高い位置に上げるためにあります)。
20230327_1

水槽BとCをつなぐパイプ(上写真の一番左のパイプ)がなかったとしたら,水槽C内の空気の圧力Pと,水槽B内の空気の圧力PBは,
C=P0+ρgh1
B=P0+ρgh2 となります。

ここで水槽BとCをパイプでつなぐとどうなるでしょうか。
C  > PB ですから,Cの水槽内の空気がBへ押し上げられ,B内の水が真ん中のパイプを通って上へ噴出することになります。
これは,h1 > h2 である間は続きますから,結局のところ水槽Bの水が無くなるまで水は噴出し続けることになります。言い方を変えると,もし h1 = h2 となったら,その時点で噴水は止まってしまうことになります。

 それが,右2つのタイプのモノです。次の写真は噴水が途中で止まった時のもので,いずれも h1 = h2 となっています。
20230327_3

20230327_2

  ヘロンの噴水は,高校1~2年生あたりで履修する「物理基礎」の教材として,良さげな感じがしますね(^^)

| |

2023年3月23日 (木)

反重力? テンセグリティ (Tensegrity)

まずは下の写真をご覧ください。(クリックすると拡大表示されます)

0376

 ちょっと見ると,宙に浮いてるように見えませんか?
こういうモノをテンセグリティ(Tensegrity)というんだそうです。テンション(tension:張力)とインテグリティ(integrity:統合)という言葉から作られた造語で,張力のつり合いによって構造が安定する構造システムを指すんだそうです。

 これを知ったのは,AliExpressで科学おもちゃを探してるときにこんなものを見つけたからでした。
「これは面白そう(^^)」と思ってさっそく購入。レゴブロックみたいに組み立てる玩具ですが,なかなかよくできています。(下の写真 左)
「これくらい簡単に作れるよなあ」と思って段ボールとタコ糸で作ってみました。(下の写真 右)
0369

 ネット検索してみると,いろんな作例が見つかったので マネして材木を使って少し大きいものを作ってみたのが最初の写真です。天板をつけるとテーブル代わりにすることもできて愉快です。
もちろんこれは「反重力」などというシロモノではなくて,高校物理の「剛体のつりあい」学習に最適な教材と言えるでしょう。
下の図をご覧ください。
Image1_20230323191701

力のつりあいの式は,mg+T2=T1

力のモーメントのつりあいの式は,L1×mg=L2×T2 となってるんですね。 【注】本当は重心Gは図に示した点の真下の「空中に」ありますが,つまらない質問をしてくる人がいそうなので,物体内に描きましたw

動画もご覧ください。(ShotCutという動画編集ソフトを初めて使ってみました)

  

| |

2022年7月 4日 (月)

蒸気エンジン (首振り式)

Cimg0182
 YouTubeの動画先達の作例を参考にして、首振り式のスチームエンジンを作ってみました。
材料はホームセンターで手に入るものばかりですから,関心のある方は挑戦してみてはいかがでしょうか。
Cimg0188
 シリンダーは直径12mm (内径10mm)のアルミパイプで,片側を薄いアルミ板で封じ,幅10mmのアルミ板に接着しました。本来ここはロウづけ(ハンダづけ)すべきところでしょうが,僕には融点の低いアルミニウムをロウ付けする技術がないので J-B Weld というエポキシ接着剤を使いました。この接着剤はスゴくて,なんと550℃の高温まで耐えられるんだそうです。
シリンダーを接着したアルミ板には、給排気用の穴と本体にぶら下げるためのビス穴を空けておきます。

 ピストンは直径10mmのアルミ棒を長さ15mmくらいに切って浅い穴を空け,直径4mmのコンロッド用アルミパイプを差し込んで接着します。アルミパイプの反対側は万力でつぶしてクランクアームに引っ掛けるための穴を空けます。

Cimg0189
本体には,給排気用に穴2つとシリンダーをぶら下げるビス穴を空けます。
Cimg0183
裏側はこんな具合です。フライホイールはパーツ箱にあったボリウムつまみを2つ使いました。
プーリーをつけて輪ゴムで太陽電池モーターにつないで発電をしようと思ったのですが,トルクが足らなくてうまくいきませんでした(汗)

では,動画をご覧ください ↓

 

  

| |

2022年6月10日 (金)

ローソクで動くスターリングエンジン

Cimg0170
 前回紹介したものより先に作ったのがコレなんですが,このスターリングエンジンはローソクの炎で動きます。
YouTubeで見つけた先人の作例(コレとかコレ)を参考にしました。

 ディスプレーサの動きが見えたほうが教育的なので,シリンダーは500mlのペットボトルを輪切りにして使っています。Cimg0173
 ディスプレーサはスチールウールを切り開いてゆるく巻き直して作ってあります。密度は元のスチールウールとほぼ同じで,量的には6~7割くらいです。動かしてるうちに変形してきてヘンな形になってますが(笑)作ったときは高さ3cm程度の円筒形でした。
これを0.28mmのステンレス線で吊るして上蓋に0.30mmの穴をあけてクランクシャフトにぶら下げています。Cimg0172
 パワーピストンは中村さんの動画をマネしてΦ12とΦ10のアルミパイプを使って作りました。このピストン部分をゴム膜を使ったダイヤフラムにしてる作例を多く見かけますが,やはり本格的なピストンがいいですね。
Cimg0171
 クランクシャフトは何個か作れば熟練してきますから,納得いくまで作り直しましょう(笑)

 ローソクで加熱する部分はアルミ缶の底を高さ1cmくらいのところで切断して,穴をあけた木製台座に接着しています。温度が高くなる部分なので,この耐火パテを使いました。Cimg0174

 では,動画 ↓ をご覧ください。火力が足りないのか,眠くなるほどゆっくり回転します。まあ逆にディスプレーサとパワーピストンの動きの位相差がよく分かって教育的かな?

  

| |

2022年6月 7日 (火)

スターリングエンジン

Cimg0164
 20年くらい前に土浦工業高校の小林先生ご考案のスターリングエンジンカーを作ったことがあるのですが(この本も参考にしました),調子に乗って走らせていたら壁にぶつけて壊してしまい,そのままになっていました。
授業で生徒に見せるために1台あるといいなあと思って作り直してみました。
20年前に作ったときは熱源としてガスバーナーを使わなくてはなりませんでしたが,今回は気合を入れて作ったおかげ(?)で小型のアルコールランプで動かすことに成功しました。
上記のリンク先にある「スターリングエンジンカー noBBの作り方」に従って作れば大丈夫だと思いますが,ポイントをいくつか書き記しておきます。
Cimg0166
ディスプレーサは直径2mmのステンレス棒にスチールウールを巻いて作りますが,試験管の内壁に触れないような太さにしないといけません。10mlシリンジは先端を切り落としてありますが,面倒だったらやらなくても大丈夫だと思います。
Cimg0165
最大のポイントは,直径2mmのステンレス棒がギリギリ入って,しかもスルスル抵抗なく動く外径3mmで内径2mm強の真鍮パイプをホームセンターで発見することです。ステンレス棒を入れたときの隙間が大きすぎると,空気が大量に漏れてしまうのでうまくいきません。
2mmステンレス棒をコンロッドにつなぐ箇所には,サトーパーツ端子台から取り出したジョイント金具を使いました。コの字型の金具は,ホームセンターで買った長さ90cmのコの字型アルミ棒を切って作りました。

Cimg0167
フライホイールはCDですが,ボールベアリングを使って滑らかに回転するようにしました。クランクピンはCDにドリルで2mmの穴をあけてビスを立ててあります。

では,動画 ↓ をご覧ください。自作の小型アルコールランプで1分程度加熱すれば動かせます。加熱を止めても余熱でしばらくの間 回転し続けます。

  

| |

2021年11月24日 (水)

スリンキーを使って縦波の定常波

20211124_1

 スリンキー (長いばね) を使って縦波の定常波を作り,波長と振動数を測定して ばねを伝わる縦波の速さを測定してみました。
高校の物理教育では長いゴム管を使って横波の定常波をつくり,同様の測定をする生徒実験がありますが,それの "縦波バージョン" です。

 まず,ダイソーの園芸用品売り場にある長さ180cmポールを使ってスリンキーをぶら下げ,「林田式ウエーブマシン」風のものをつくります。
ばねの一方にタミヤの3速クランクギアボックスセットを使った往復スライダークランクをつないで,1cmくらいのストロークで振動させます。
20211124_2

他端は糸で引っ張って鉄製スタンドに固定しておきます。
 往復スライダークランクのモーターには,可変三端子レギュレータLM317を使った電源をつないで電圧を細かく調整してストロークの周期を変化させ,うまく定常波ができるようにしてやります。
Lm317
だいたい2~4Hzくらいの周波数で動かしてやるとうまくいきます。
まあ,これを見せるだけでも教育的な意義はありますが,この定常波の波長と振動数を測定してみました。

 定常波の節と節の間の距離が半波長ですから,これを2倍すれば波長は分かります。
振動数は,フォトリフレクタLBR-127HLDを使って下のような回路を作り,往復クランクの腕のそばに置いて測定します。
20211124_4
回路の出力を周波数が測定できるデジタルマルチテスターにつないでやれば,ちゃんと周波数を測定してくれます。
Lbr127hld

 雑な測定ですが,測定結果を以下に示します。

周波数 f [Hz] 2.16 2.35 2.87 3.40
半波長 λ/2 [cm] 45 42 32 28
波長 λ[m] 0.90 0.84 0.64 0.56
波の伝わる速さ v[m/s] 1.9 2.0 1.8 1.9

fλ (= 波の伝わる速さv) が一定値になることは示すことができますね。

 

  

| |

2021年4月 9日 (金)

RLC直列回路 電圧の位相差を検流計で見る

20201021-125426

RLC直列回路に交流電源をつなぐと,各素子にかかる電圧の位相は下図のようにズレています。

Cci20160113_0001

この電圧の変化を電圧計(検流計に倍率器を入れて電圧計として使用する)の針の振れで見ることができます。
回路図は下図のようにします。
Rlc

5.6mHのコイルは手に入りにくいかもしれません。そういう場合は,高校の物理教室に必ずある500Tのコイルをロの字型鉄心に入れて,下図のように配線します。
Rlc2

電源は秋月電子で売ってる低周波発振器を使います。

20201021-125517

1Hzの正弦波で電圧は10Vにします。
そうすると,下図のように電圧計(倍率器を入れた検流計)の針がπ/2ずつズレて振れます。
電圧計はL,R,Cの順に並べたほうが位相差π/2が分かりやすいでしょう。
Photo_20210409143501

交流回路に苦手意識を持っている高校生は多いのですが,これを見せてやると「ほんとに位相がズレてるんだ~」と感動してくれますよ。

| |

2020年10月18日 (日)

格安オシロスコープで遊ぶ (5)  LC回路で電気振動

202010171

 どこの高校の物理教室にもある500巻きのコイルをコの字型鉄心に入れて(LCRメータを使って実測したら70mHありました)100μFの電解コンデンサを並列につなぎ,LC回路の電気振動をやってみました。

202010174  
 3ボルトでコンデンサを充電しておいて左のスイッチを切り,右のスイッチを入れてやります。
オシロのトリガモードは,NORMALかSINGLEにして,トリガレベルは0ボルトからちょっとだけ上へ上げてやります(0.4ボルトくらいにしました)。

202010172

 もちろん すぐに減衰しますが, 6~7回くらいは振動するので,授業で見せるくらいなら これで十分でしょう。

この電気振動の周期Tの計算をやってみましょう。20201017image1

 ちなみに,今回の実験で使ったコイルのL=70mH,コンデンサのC=100μFを代入して周期Tを計算してやると,T=17msとなりました。上のオシロ画面の時間軸は1目盛10msですから,大体うまくいってることが分かりますね ♪

ついでに,エネルギー保存の式を作っておきましょう。
20201019image2

  

| |

2020年10月16日 (金)

格安オシロスコープで遊ぶ (4)  コイルの自己誘導

20201016_1

 発振器で作った矩形波をコイルに入力して,コイルに生じる誘導起電力を測定してみました。
202010161

回路はこんな感じ。
 12mHのコイルは,電子パーツ屋で買ったチョークコイルです。いつ買ったのか記憶がありませんが,将来使うかもしれないモノは「とりあえず買っておく」癖がついているものでね(笑)

20201016_2  発振器でこういう矩形波を作って上の回路につなぎます。この発振器は,高い周波数にすると ちょっとノイズが乗りますね。

コイルの両端の電位差(誘導起電力)を測定すると,こんな ↓ 感じ。
20201016_3 高校物理の教科書によく載ってるやつですね。

 この曲線も指数関数で,前回と同じようなやり方で計算すると式が作れますからやってみましょう。まずは,Eボルトの直流電源につないだ直後。
20201016image1

お次は,電源が0ボルトになった直後。
20201016image2

| |

2020年10月13日 (火)

格安オシロスコープで遊ぶ (3) コンデンサの充放電

20201013_1

 高校物理の教科書によく出てくる「コンデンサの充電曲線・放電曲線」をオシロスコープで見てみましょう。
20201013

 コンデンサと抵抗で,↑ こういう回路を作って,ファンクションジェネレータで左側から14Hzの矩形波を入れ,4.7μFのコンデンサの両端の電位差をオシロで観測します。
入力した矩形波はこんなやつ ↓ で,
20201013_2 コンデンサの両端の電位差は,こんな具合 ↓ に変化します。
20201013_3

 物理の教科書によく載ってるやつですね。
昨年度,岐阜の県立高校のすべての教室に液晶プロジェクタが設置されたので,このオシロを持っていけばすぐその場で見せることができるな(・∀・)

 この曲線は指数関数になってるんですが,そのあたりのことも以下に書いておきますから参考にしてください。
まずは,空っぽのコンデンサをEボルトの電池で充電する過程です。コンデンサの両端の電位差がVボルトね。
20101013_image1

 んで,次は放電の過程です。
20101013_image2

| |

より以前の記事一覧