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2024年7月

2024年7月21日 (日)

【DAISOで330円】ニュートンのゆりかご

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 ダイソーは毎年 夏休みシーズンに「自由研究」のネタになる商品を発売しますが,今年2024年の夏はニュートンのゆりかごがそのラインナップに入っていました。で,さっそく買ってきて作ってみたのでご紹介します。
 この「ニュートンのゆりかご」ってのは,高校物理の教材カタログには衝突球と表記されていることが多いのですが,運動量保存則と反発係数の学習をするときに必ず見せている装置です。
ただ,世間に流布している説明がきわめてイイカゲンで,「衝撃波が伝わる」だの「運動エネルギーの伝播」だのデタラメもいいところです。上のリンク先のWikipediaでさえ,酷い説明になってて呆れます。ちゃんとした説明が知りたければココが良いと思います。

 この装置を理解するためのポイントは「同じ質量の2物体が弾性衝突すると速度交換が起こる」ということで,これはもちろん運動量保存則と反発係数の式から導出できるので,高校物理では必須の演習問題となっています。下の動画の最後に,僕が授業でいつも出題している物理クイズがあるのですが,「衝撃波伝播説」の人々はこのクイズに正解できないはずですw 「ちゃんと物理を勉強しなきゃダメよ」ってことですね :D

 ただ,このダイソーのキットはたいへん良くできていますが,製作手順3の

糸を固定パーツに通し,ボールの穴に通します。ボール上部を
セロテープどめしてください。

というところはイマイチかなあ。セロテープどめしないで糸が動くようにしておいた方がボールの位置を微調整しやすくて良いと思いますよ。
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 では,6分21秒の動画をご覧になって,クイズの答えを考えてみてください。

2個のボールを衝突させると,反対側の2個のボールが飛び出す理由は以下の通りです。
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 ボール1,2が速度Vでやってきて,2と3が衝突すると速度交換が起こって2が止まり,3が速度Vになります。次に3と4,1が2が衝突してそれぞれ速度交換が起こりますから,4と2が速度Vになります。次に4と5,2と3が衝突して速度交換が起こり,5と3が速度Vになります。最後に3と4が衝突して速度交換が起こるので,最終的に4と5が速度Vとなって飛び出していくのです。この6回の衝突があっという間に起こっているのです。

 動画内のクイズのようにボール1と2を一体化させて質量2mの物体にした場合は,ボール1+2の2mと,ボール3のmの衝突ですから,速度交換は起こらず,衝突直後ボール1+2は左向きV/3の速度を持ちますから(計算してみてください),ボール4と速度交換して静止したボール3と再び衝突し,それ以降は要するにぐちゃぐちゃになります。

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2024年7月10日 (水)

ハンディ・バンデグラフ起電機

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 以前,「自作バンデグラフ起電機」という記事を書きましたが,手で持って遊べる小型のバンデグラフ起電機を作ったので ご紹介します。
モーターはDC3V用の RE-280 で乾電池2本で動かすことにします。ローラーはアルミパイプとテフロンテープを巻いた塩ビパイプで,ベルトは折径180mm,幅6mmのゴムバンド(オーバンドGP-410)を使いました。
アルミパイプの方がプラス,塩ビパイプの方がマイナスに帯電します。これを塩ビパイプVP-20の中に仕込むことにします。
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 アルミパイプは両端を削って俵型にしておくとゴムベルトが外れないので具合がいいです。これはさらにアルミテープを巻いて中央を盛り上げてますが,ここまでしなくでも大丈夫です。ただし,アルミパイプの表面が梨地になってたら目の細かいサンドペーパーやピカール磨いてピカピカにしておきましょう。

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 もうひとつのローラーは直径8mmの細い塩ビパイプにテフロンテープを巻いてゴムバンドを掛けます。僕はテフロンテープの上にさらに百均で買ったジェルネイルのトップコート(ニトロセルロース)を塗りましたが,そこまでしなくてもよいかもしれません。
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 集電子は薄いアルミ板を切って作りました。やすりをかけてカッターナイフの刃のように尖らせておきました。

 ローラーを上下逆にしてやると,正負の極性も逆になるので,2種類のバンデグラフ起電機を作っておくと良いでしょう。
では動画をどうぞ↓

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