「誰が教育を殺したか?」を読んだ
教育問題について深い洞察力と鋭い筆力を持った夏木 智という批評家をご存知でしょうか。
ぼくより3歳年上の現役の県立高校数学教師,夏木氏の著作に出会ったのは今から14年前,「誰が学校を殺したか」が出版されたときでした。
学校が機能不全に陥らざるを得ないその構造と世間のメンタリティの在りようを論理的に解き明かし,「エゴイズムのディレンマ」という本質的な問題にたどりつく目の覚めるような展開に強い衝撃を受けると同時にもやもやしていたものがスッキリ見えてきた気がしました。
この著作の射程は14年後の今日にも十分届いており,まったく色あせることはありません。(逆に言えば14年前に指摘されていた問題が手つかずのまま放置されてきた,ということだ)
その夏木氏がこの夏,「誰が教育を殺したか?」という本を出版したことをAmazonからのメールで知り,さっそく読んでみました。
14年前に比べると,やや人間が丸くなったような印象(笑)を受けましたが,論理的でクールな筆致は相変わらず。これはオススメです。
帯にも書いてある「学校を変えるための12の提言」のうち,特に次のものに溜飲を下げました。
1.部活動を学校から切り離せ
6.教員採用試験において学力を重視せよ
7.教員に残業手当を支払え
8.官製研修・研究指定校をなくせ
10.文科省の官僚に学校での研修を義務づけよ
現場感覚に裏打ちされた,この貴重な提言に文科省も耳を傾けるべきですな。
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コメント
この本の著者の夏木智です。茨城県で公立学校の教員をしています。紹介していただきありがとうございます。
人間が円くなったとのご指摘、ありがとうございます。私も年をとったので、いくらかは進歩しているかもしれません。多くの人に読んでもらって、教育の将来についてきちんと議論をしてもらうための、一つのきっかけになればと願っています。
投稿: 夏木智 | 2006年8月17日 (木) 10:13
夏木さん,コメントありがとうございます。
私たちの本はともかく(笑),「誰が教育を殺したか?」は周りに広げたいと思っています。
今後ともよろしくお願いします(^-^)
投稿: むらた@のらねこ学会 | 2006年8月17日 (木) 18:59