凧にベルヌーイの定理による揚力なんて働くの?
うちの学校の子が「凧の研究」をしてるので,ほんの少し手伝ったりしてるんだけど,「なぜ凧は上がるのか」という問題を考えたことがありますか?
ココやココを見ると飛行機の翼みたいにベルヌーイの定理で揚力が生まれるように説明されていますが,これはちょっとヘンじゃないかなー?
凧が上昇するときの仰角は,飛行機でいえば完全に失速してる角度ですからね。こんな装置を作って実験してみました。
プラ板で作った楕円形の水路に水を入れ,モーターにつけた模型船用スクリューで水をぐるぐる回します。
水面に金属粉をばらまいてやれば風洞実験みたいなことができるわけです。このように(クリックすると拡大表示)凧のように少し湾曲させたプラ板を流れの中に置いてやると,上端と下端の裏側で水流が渦(カルマン渦)を巻いていることが分かります。このように流線が剥離してるんだから,飛行機の翼とは違うでしょ?
凧が上昇するのは,凧にぶつかった空気が下に向きを変えられることによる反作用だと考える方が妥当じゃないですかね。(つまらない原理ですが)
ところで,飛行機の翼が揚力を得る原理を従来とは異なったやり方で説明しているサイトを見つけました。
「翼周りをぐるりと1周しようとする流れ(循環)」ってのはちょっと納得いかないけど,「向心力の反作用」って説明なら「なるほど」って感じかな。
もうちょっと勉強してみよっと。
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コメント
こんにちは,はじめまして.
リンクを張っていただいた A-Cubed です.
凧(和凧)がなぜ空に舞い上がるかという説明はネット上でもしばしば見受けられますが,基本的には糸の張力と揚力・抗力の釣り合いで説明がつきます.迎え角が大きい感じがしますが,失速状態でも流れに垂直な力成分(揚力)はゼロになりませんので.
ただし,和凧の場合に問題になるのは,単純に2次元翼でモデル化するのが適切でないことです.つまり,アスペクト比の小さい3次元翼と考える必要があるのですが,この点を指摘しているサイトは皆無に等しいですね.このため,2次元翼モデルでは想定出来ない程の揚力が和凧では発生します.
私のサイトの3次元翼のページでこの件を記述しようとは考えてますが...いつになることやら.
また,揚力の発生原理における循環についてご納得いただいてないようですが,あのページに記述している理論展開は,一般的な流体力学では定石となっているもので,従来と異なった説明でも何でもないのです.むしろ,一般に広まっている(間違った)揚力の説明の方が,そこそこ流体力学を勉強した人間にとっては非常に「奇異」に感じます.
それでは,失礼致しました.
投稿: A-CUBED | 2004年8月26日 (木) 23:15