2025年10月21日 (火)

【音波の定常波】音が大きく聞こえるのは腹?節?

 昨年,豆電球の明るさで探る「音波の定常波」という記事を書きましたが,その時に使ったマイクはコンデンサマイクでした。
人間の耳もコンデンサマイクと同じ結果になるのですが,音波の定常波の節(密度変化最大=圧力変化最大)で音が最も大きく聞こえます。
では,リボンマイクだったら,音が最も大きく聞こえるのはどこでしょうか?実際に調べてみました。まず, 4分52秒のYouTube動画をご覧ください ↓

 リボンマイクは,金属リボンの振動の速さに応じた起電力 E=vbl が発生しますから,媒質(空気)の振動が最も激しいところ,すなわち定常波の腹で最大出力(つまり大きな音が聞こえる)となります。逆に媒質(空気)が振動していない節ではマイクの出力はゼロ(音が聞こえない)となります。
しかし,コンデンサマイクは,定常波の腹(圧力変化ゼロ)で出力ゼロ(音が聞こえない),定常波の節(圧力変化最大)で出力最大(大きな音が聞こえる)となるので,リボンマイクとは逆の結果となります。

 人間の耳は,コンデンサマイクと同じように圧力変化最大の節のところで最も大きな音が聞こえますから,高校物理の教科書にもそのように書かれていますが,マイクの種類によっては結果が異なりますから注意が必要です。

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2025年10月13日 (月)

リボンマイクを作ってみた

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 マイクと言えば,ダイナミックマイクやコンデンサーマイクがよく知られていますが,「リボンマイク」というのをご存じでしょうか。
磁場の中に張った金属箔(リボン)が音波で揺らされるとリボンに誘導起電力が生じます。これをアンプで増幅することによってマイクになるのです。

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 高校物理の授業で「磁場の中で動く金属棒に生じる誘導起電力」を説明するときに良い演示実験になると思い,作ってみました。

ネオジム磁石を向かい合わせておいて,その間に幅8mmくらいに切った家庭用アルミホイルのリボンを波打たせた(コルゲート加工というそうです)ものをゆるく張ります。
 コルゲート加工は,下の写真のようにプラスチック製の歯車2個の間にアルミ箔リボンを通すことによって波打たせます。この加工によって,金属箔リボンに適度に復元力を持たせることができるのです。

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ちなみにこの歯車はAliExpressで3個で407円で購入しました。
 金属箔リボン1本に生じる誘導起電力はとても小さいので,電子工作でよく使うST-32というトランス(巻き数比1:12)を使って12倍に昇圧しました。これでなんとかマイクとして使用できますよ。

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2025年9月17日 (水)

塩ビ管のトロンボーン

 日用品演奏ユニット kajii のお二人の著書「kajiiのふしぎな手づくり楽器」を手に入れました(2025年6月末発売 1,980円)。
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作ってみたくなる楽器がたくさん載ってて楽しい本です。これはオススメ。
この本の中にある『塩ビ管のトロンボーン』を作ってみたのでご紹介します。YouTubeでこれと同じ構造のモノを観たことがありますが,『Air Horn』とか『Fog Horn』と呼ばれることが多いようです。思ったより大きな音が出るので,山歩きの時に持ち歩けば『熊よけ』に使えるかもしれません(?)。
この本で紹介されている材料や製作方法とはちょっと違いますが,下にご紹介する作り方の方が丈夫なものができます。

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 上の図を見ればお分かりになると思いますが,密閉された空間に強く息を吹き込むことによってゴム膜が振動し,塩ビパイプVP13の気柱が共鳴するわけです。
塩ビパイプの長さを変えたり,ゴム膜をポリ袋に替えたりすると音の高さや音色が変わります。

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2025年8月 2日 (土)

ダイソーの『湿気とり』で霧箱

 ドライアイス不要の霧箱シリーズ 第5弾です。
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 ダイソーで売ってる 湿気とり (税込110円)は,塩化カルシウムCaCl2です。
このままでも寒剤として使えますが,6水和物のCaCl2・6H2O にすると,-50℃近くまで冷える寒剤になるようです。これくらい冷えれば霧箱でドライアイス代わりに使えます。
食塩でも-20℃くらいまでは冷やせるようですが,これではちょっと足りない感じ。経験上,少なくとも-25℃以下にならないとキビしいです。
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 塩化カルシウム6水和物をつくる方法は次の通りです。
まず,ダイソーの塩化カルシウム360gに水を180mLくらい加え,飽和水溶液をつくります。溶けるときに発熱し,50℃くらいになりますが,驚かなくても大丈夫。この水溶液をときどきかき混ぜながらゆっくり冷やして固化(融点は約30℃)させます。カチコチの固体にするのではなく,かき氷状にできると あとの扱いがラクです。
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 塩化カルシウム6水和物水の氷をかき氷機でガリガリ削って,かき氷:塩化カルシウム6水和物=4:6程度 に混ぜると-54℃くらいまで下がるらしいです。僕は-35℃くらいまでしか下げられてませんが(^^;)
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 -35℃くらいまで下げられれば,自作クラウドチャンバに取りつけたヒートシンクが写真のように凍り付いてすごい霜がつきます。これくらい冷やせれば霧箱として十分使えます。
僕が実験に使った量,かき氷300g,塩化カルシウム6水和物400gを混ぜた寒剤で1時間くらいは放射線の飛跡を観察することができました。

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クラウドチャンバの製作過程などは詳細は下の動画をご覧ください。

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2025年6月10日 (火)

ペットボトルのリード笛

 日用品演奏ユニット kajii のお二人は,身近な材料を使って数々の楽器を作って発表されています。
その中のひとつ,ペットボトルのリード笛を作ってみたのでご紹介します。
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 ペットボトルなら何でもよいわけでもなくて,キリン トロピカーナのボトルがオススメです。簡単に良い音の出るリード笛を作ることができますよ。

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 上の写真のように,ペットボトルの胴体に幅10mmくらいの切り込みを入れてリードを作ります。リードを長くすると低い音になりますが,音階を作ろうと思うとなかなか難儀をします。トロピカーナのボトルの胴体は意外に硬いのでカッターナイフで怪我をしないようくれぐれもご注意ください。
「しまった,切り過ぎた!」と思ったら,リード全体を覆うようにセロテープを貼り,〈なかったこと〉にして(笑),別の場所に新たに切り込みを入れたほうがいいと思います。

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 音感のある人は,耳で聞いてリード笛でドレミファが作れるでしょうが,僕には無理なので Sonic Tools というアプリを利用して音階を作りました。
上の写真では,ドが115Hz,レが133Hzなどとなっていますが,相対的な音階になっているだけなのでご了承ください。

 なんとか1オクターブぶんのリード笛を作れたので下の動画で聞いてみてください。
そうそう,kajiiのお二人は2025年7月に本を出版されるそうですよ。これは絶対買わなくちゃ(^^)

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2025年6月 2日 (月)

【aitendo】AM/FM DSPラジオモジュール

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 以前紹介したaitendo 2025お楽しみ福BOX の中に入っていたAM/FM DSPラジオモジュール M6952v2 を使ってラジオを作ってみました。
今も税込み748円で手に入るお値打ちな基板ですが,なかなか高感度なラジオになりますよ。

M6952v2  
 追加の部品は,50kΩのVRを2個,単三×2の電池ケース,同調インジケータ用LEDスピーカー,ツマミ類だけで,最小構成のFMラジオ(FM補完中継局用 87〜108MHz)を作れますが,さらにロータリースイッチ,中波AM用330μHバーアンテナ電気抵抗数本を追加して,
201506022(1)FM1:87〜108MHz
(2)FM3:70〜93MHz
(3)TV1:56.25〜91.75MHz
(4)TV2:174.75〜222.25MHz
(5)MW2:522〜1620KHz

5バンドラジオにしてみました。

 下の動画を観てもらうとよく分かると思いますが,FMはなかなかの高感度で音もイイです。ラジオは窓際に設置し,アンテナは1mくらいのビニール線をつけてあります。
 一方,中波AMはノイズっぽいし少し発振ぎみの音なのでいまいちかもしれません。でもまあ安いから許せちゃいますがね :p

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